ビビッドな赤いシューレースが写真に彩りを与えてくれている。本人は別に意識してやっているわけではないだろうけど、強い色を身につけるスケートボーダーは画になる男が多い。
スチール撮影に不向きなカーブトリックでの連続トリックだけど、これは赤い靴底が見えていることも相まってフェーキーアウトであることを表現しようとして、狙い通りにいけた瞬間。
手はスケート写真の中で最もドラマティックな細部のひとつ。スケートボードは足でやるにも関わらず、手の表情が美しいスケートボーダーは自然と写真映えするのだから不思議であり、大切。
建物の色や形も写真に彩りを与える要素。それ自体が、その国、その場所にしかないものだから、全て世界でただひとつの個性があって、ストリートの写真を楽しいものにしてくれる。
2010年春、Sb初のフォトイシューに持ち込まれたこの写真。被写体だけでなくトリックの精度とスポットの雰囲気も良いし、フィッシュアイでないならば、構図的にもベストの選択のひとつであった。しかし、この号は前号のインタビュー特集から続く「1枚の板と4つのタイヤで何をしているのか」というテーマが存在していた。もちろん答えはスケートボードだろ、ってことで良いのだが、それ以上に余韻や見えにくい部分を写真に求めた号だった。素晴らしいスケートボードのトリック写真よりも、スケートボード以上に写真がページに収まりきれなくなる感じのものがセレクトされることもあるという事例のひとつとして記憶している。