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imaone

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描くことと、それを展覧していくこと。言わば、クリエーションとセルフプロデュース、この2つを両立させていくことはなかなかに難しい。つくり手が素晴らしいセールスマンでなくてもいいのだが、だからギャラリーがあったりキュレーターがいるのかもしれない。いや、もともとストリート上でサバイブしている者たちにとっては、それこそが望むところ。流浪の望みなのかもしれないが…。imaone。今回、アーティストのひとりである彼が"FILL"HARMONYにおける起点であり、キュレーター(ここでは個性溢れる絵で壁一面を埋め尽くす FILLなオーケストラにする指揮者)としてのパートも担うことを求められた部分もある。作品制作に影響を及ぼしかねないプロデュース作業を同時進行したとろこにも並々ならぬ意欲を感じた。そもそも、きめ細かいドローイングワークに、その細い線を生かす淡い色使いで表現する彼の絵を見ればわかるように、そこにはストーリーがあり、描く被写体に託された情報も点在している。それは作品であるスケート写真に、スポットの難易度を指し示す様々な情報やライティングが写し出されているのと似ているのかもしれない。写実と頭の中にある空想とを同列に考えるのは強引と言うかもしれないが、彼のそれはそれだけきめ細かく描かれた絵であることは間違いないだろう。そして。個人的に思うのは、その絵たちは優しい。優しくて柔らかくて、どこか哀愁が漂っている気もする。さらにはその哀愁は物憂げにずっと正眼するこちらにまとわりついてくる。ビビットに表現できないこの世の中の色という色を残像させる。それは決して嫌いではない感じ。残像がどこまで辿り着くのか、楽しみにさせてもらいたいと思う。

その手で一体何を?

「愛っすね、愛」

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