90年代後半、代々木公園で開催されていたブロックパーティ、ヒップホップ最高会議。その古き善き時代に出会ったSTMのANSA氏などに多大な影響を受け、考え方や社会との付き合い方さらには環境の護り方など今に繋がる様々なことを学んだ。加えて桜木町という存在も大きかった。誤解を恐れずに言うならば、そこはゲームが成立していた場所。描いたものに対するレスポンスも早く、イリーガルなことが絵の力によって共存することもできた。1997年、もともと絵を描くことと街遊びが好きな少年は、スケートボードに乗ってストリートへと飛び出していった。都内におけるメッカのひとつ、光が丘公園で目にしたWOMのピースはマガジンで知った世界観がそのままそこにあった気がした。それと同時に仄かにこみ上げてくる内なる自信は、より自分をプッシュし街遊びを濃密にさせていったのだった。QP。その者の、内なる公共物として自生するアーティストQPが描くものは、絵というよりも街や社会の中にある「1+1=3」という可視化しにくい影みたいなものなのかもしれない。街中で肉眼が捉える見えるものにシンクロする、感覚が捉える生あたたかい影。その影には、破壊行為とも呼ばれる活動を続けている彼が、どういうようにツッコまれても答えれるように内なる公共物に責任を持ってつくり出したものが含有されているのだろう。
「OUR SYSTEM IS OUR OWN」、メインとされる社会的なものの他にも存在するはずの個々それぞれにあるメイン。社会と世界。刹那に流れてゆくストリートの上で「止まっているヤツ」はたいがいがスケートボーダーかグラフィティライターという街において、QPはその中のひとりであり、QPの絵もまた唯一であり、そしてそれらは激烈ではあるが決して個人を傷つけるためのものではなく、どこまでも生あたたかくて美しい影になっているのだと思う。
その手で一体何を?
「自分に就職するための就職活動です」