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TENGAone

ギャップを越える。これは何もギャップ越えのオーリーなどといったスケートだけのものではない。TENGAoneは人間の驕りや矛盾をあえてほじくり出して描くという行為をテーマに作品づくりを続けている。父の影響で3、4歳の頃にはすでにいっぱしのホーラー映画フリークになっていた彼は、夏休みや冬休みの度にステイする祖父の家で用意されていたラクガキ帳にバラバラの人体やエグイものを描いていた。子どもらしくないと怒られたがそれでも描くことをやめれず、ひたすら描いていた。描き続けた。その幼少期から続いている一種のクセのような感覚の延長線上で今に至っているというが、そこには人それぞれのスタイルやパターンを尊重しながらも、自分的にはものづくりの中にあるギャグ要素や面白いものを見せていきたいという気持ちがあることが見え隠れしている。元来、根が真面目で、学ぶという部分からも美術にアプローチしていた時期もあった。だからか、忠実にデッサンすることも嫌いではないし、スタンダードで直球な美しさを自然と求めるところもある。立体的なものもつくるし、絵だけでなくデザインなども手掛けている。しかし、それだけでは面白くないから、変化球を意識する。わざとグロかったり変だったり。わざと狙うというのが好きだと言ってもいい。描くという行為から、つくり出すというところへと昇華するとき、彼の中に発生するわざとらしさ。言わばギャップをつく、ギャップをほじくり出す、そういう作業の果てにTENGAone自身がまだまだ変化し脱皮していけるのではないかと思っている。何でもありのこの時代の、街も人も流動的なこの世の中で、TENGAoneの完成された作品と未完成の道程。

その手で一体何を?

「何をつくっているのか、まず自分が知りたい。
何をつくっているのかわからないけど、
つくり終わったらその日はずっと眺めていれるものを
つくっているし、つくっていたい」

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