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TANGENT

東北関東大震災にて、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災さられた皆様、そのご家族の方々に対しまして謹んでお見舞い申しあげます。そして、現在、震災を乗り越えようと懸命に生きるすべての人々とともに、一刻も早い復興を願っております。
スケートボードマガジンを長く続けてきたおかげで出会えた言葉のひとつに[diaspora]というのがある。ディアスポラとは本来は宗教的な意味合いの強い言葉で、頭の「d」が大文字になるとさらに特定されて、バビロン捕囚後のユダヤ人の離散、もしくは離散して他国に住むユダヤ人を指し、暗に共通認識としての宗教、もしくはよりどころがあるということを意味するらしい。この離散というのは、広がっていくという余韻を一切感じさせない、文字通りに離れて散っていくという、ポジティブではない矢印を心に印象づけるけれど、主語をそれ(=スケートボード)にしたらどうだろうか。スケートボードの母国アメリカから、それが一枚一枚と散っていき、世界中の街の片隅でウィールやテールを哭かせる音がちらほらと聞こえてくる気がしてしまう。言わば、ばらばらに引き裂かれているけれど、なにか強いもので繋がっている状態。例えばそれが、宗教だったり、血縁だったり。そして僕たちにはそれがスケートボードであったりする。この瞬間、世界のどこかで誰かがテールを叩いている。コーピングにトラックを擦りつけている。僕たちは見えない力で繋がっている。そんな感じを大切にしていたい。(Vol.17より)

Senichiro Ozawa