初対面のとき、やけにテンションが高くて、うるさい、生意気なスケーターがいたんだ。他のやつらは知らないけど、少なくとも自分にとってはそう感じられた。ヤツと一日過ごすと、いろいろな点で自分と全くちがっていて疲れる。日本人ノリじゃないっていうのかな、ガイジンだよね。彼と過ごした後はぐったり疲れていたり、何か心にひっかかりが残っている自分に気づく。彼とのセッションは今日限りかな、なんて。しかし、そういうヤツに限ってひょっこり他のスケーターの撮影についてきたりするんだ。彼はノリがよくてスケーターに迎え入れやすい性格なんだ。ワサップ?なんて。そんな偶然をきっかけに何度か一緒に撮影に出かけたり、難しいスポットにトライしたりもした。そのうち気づくと、そいつが何だかとてもかっこよく見えてきたんだ。言っておくけどオレはゲイじゃないよ。だけど最初はあんなにいけ好かない奴だったのが、すでに自分にとって最重要な被写体になっていたんだから不思議なもんだ。そういえばある夏の日、難しいスポットを仕留めたヤツのポートレートは、凛々しくて良いツラしてたな。
男女の相性で好きか嫌いかなら脈ありだけど、何とも思われないというのは脈がないという。被写体も似たようなところがあるかもしれない。良くも悪くも感じるものがある人間に出会ったら、それはチャンスなんだろうね。