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TANGENT

今回はスケートボードの世界に棲むモンスターについて書こう。俺の知るモンスターは歳をとらないモンスターだ。彼を初めに見たのはかれこれ20年も昔になるかな。地元のコンテストにデモライダーとして来ていたんだ。スケートフォトグラファーも同行していてガンガン写真を撮っていたっけな。当時誰も手をつけていなかったその公園のハンドレールを攻めていたし、ほとんど全てのスケーターがバギーパンツを履いていた時代に、彼はジャストサイズのデニムとVANSをはきこなしていた。自分があるって、こういうことかもなって思ったね。その数ヶ月後、あのデモの様子がスケートマガジンに掲載されたんだ。それはアガったもんだよ。あの時に俺たちが見ていたハンドレールへのトライが雑誌のグラビアになっているんだから興奮するよね。それ以来、すっかり彼のファンになっちゃったよね。この前、そのスケーターと撮影に行ったんだ。もちろんスケートのね。今じゃ彼も40歳くらいかな。だけどプロスケーターだし他の誰よりもスケートしているよね。その日は公園の滑り台のRで16歳の少年スケーターと戯れていたよ。それをビデオに収めたり、写真に撮ったりしているんだから、周りから見たらさぞかしシュールだったかもな。でも、すごく良いのが撮れたんだ。そういや今日も電話で話したけど、手首を傷めたとか足首の調子が悪いとかって、興奮して話していたよ。スケートボードってまあ、こんな感じなんだね。

Nobuo Iseki