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TANGENT

「パーフェクト・ワールド」「憎しみ」「ドラッグストア・カウボーイ」「ダイハード」「2001年宇宙の旅」「奇人たちの晩餐会」「ストレート・ストーリー」「グーニーズ」「レスザンゼロ」「イン・ザ・スープ」「スクール・オブ・ロック」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「パリ、ジュテーム」「スタンドバイミー」「ファイティング・フォックス」「ギャング・オブ・ニューヨーク」「ジョーズ」「ホテル・ルワンダ」「ユージュアル・サスペクツ」「レインマン」「スリーハンドレッド」「バグダッドカフェ」「ニルバイ・マウス」「ハートブルー」「マッドマックス」「トイストーリー」「セブン」「トレインスポッティング」「ピアノレッスン」「アンタッチャブル」「イレザーヘッド」「トゥルーロマンス」「ヒート」「グラントリノ」「E.T」「25時」「ブラック・ホーク・ダウン」「グランブルー」「ショーシャンクの空に」「告発」「アラビアのロレンス」「未来世紀ブラジル」「リバー・ランズ・スルー・イット」「ザ・アワーズ」「スモーク」「ハピネス」「007スカイフォール」「アメリカン・ビューティ」「ビッグ・リボウスキー」「テルマ&ルイーズ」「グッド・フェローズ」「コックと泥棒とその愛人」「ゴッドファーザー」「ダークナイト」「トップガン」「カスパー・ハウザーの謎」「バリーリンドン」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「スナッチ」「カラーパープル」「キッズ」「ターミネーター」「フォレストガンプ」……。とある晩。待ち合わせの20:00に少し遅れてしまったが、渋谷のダイナーにドアを開けた。カウンターだけの狭い店内にBGM代わりに流れているのはベーカーのスケートビデオ。キッチンにはデッキブランド・クリーチャーのキャップをかぶっている店主。エグいホーラーテイストのクリーチャーのキャップをかぶって厨房に入る日本人はおそらく彼くらいだろう。なかなかイカしている。ブルックリン・ラガーにもそそられたが、コーラと一緒にお気に入りのバーベキューソース味のバーガーを注文する。雑談を交わしているうちに、三々五々に仲間が集まってくる。そんなときは「レザボアドッグス」気取りでもいいし、「ドゥ・ザ・ライトシング」もどきや「スモーク」もできでもいい。ヤロウだけの夜は、ちょっと気分良く映画の誰かに準えたって、たいがいは許される。ただ、この夜は、クリス・ペンでもなければハーベイ・カイテルでもスパイク・リーでもない。しいていうなら、若かりし頃のミッキー・ロークとケビン・ベーコンが出演してた「ダイナー」な感じがしっくりくる気がした。とにかく男ばかり8人がカウンターを占拠する。冬の夜はこれからだ。酒と分厚いパテで腹を満たした男たちは、凍てつく冬の街を流しながら一軒のBARへと辿り着く。時計は0:00を回った頃だった。それからあっという間に時間は過ぎていった。あと1時間もすれば始発電車が動き出す頃。男たちは何を思ったか、映画ビンゴを始めた。ペンを走らせて今を生きている自分たちの「何か」を形成させた思い思いのタイトルたちを書き殴った。コートやズボンのポケットや財布から、ありったけのコインを集めた。そして。全マスを埋めるまで続いたビンゴの勝者は、「マトリックス」に出てくるモーフィアスに似ていなくもない男。勝者のモーフィアスは粋なことに、男どもがのたまった映画のタイトルをメモしていた。それが、その夜に集まった男どものすべてを物語っていたといったら少し大袈裟だろうか。でも。そのメモを渡されたとき、「I am in beautiful moment.」、自分はささやかにそう思った気がした。真冬の夜空にネオンが霞んだとある晩の出来事。ただそれだけ。

Senichiro Ozawa