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先日。と言っても2月末日の話になるが、横浜の南区にあったスケートハウス、通称「井土ケ谷ハウス」が幕を閉じた。このシェアハウスの住人は、本多聡宏、横山泰介、大井慎也の3名。その他、全国各地の多くのスケートボーダーがこのハウスにお世話になったことだと思う。僕の知る限りではスケートハウスの存在というのは、スケートショップやスケートスポットと並んで重要で価値ある場所だ。荒木塁が最後の住人となった東京の「恵比寿ハウス」や、神戸の「Futengハウス」。金沢ではSkate Atomがワンルームをシェアして、密着率120%の濃厚生活の後にDVD作品「Journey」を生み出した。他にも僕が知らないだけで、数多くのスケートハウスが世界中には存在するだろう。始まりの理由はそれぞれだろうけど、スケートボーダーの合宿生活的な一面は、どのスケートハウスにもあてはまるに違いない。大半は笑い転げるほどの楽しい時間であるだろうけど、たまにはアツくスケート観を語ったり、人生観を語ってみたり。ただでさえ我の強いスケートボーダーだから、意見がぶつかることもあるだろう。そうやって喜怒哀楽を、存分に出しあって、キズナ的なものが芽生えたり、自分自身の成長だったりがあるはず。なかには共同生活に馴染めずハウスを出ていく住人もいただろうし、遊びに来たつもりが居心地が良すぎてそのまま住人になった人もいるかもしれない。スケートショップに行って、スケートスポットへ行って、そしてスケートハウスへと帰る。24時間無制限にスケートボード。想像するだけでも刺激的で、僕も家庭を持つ前に経験しておけば良かったと後悔の念を抱いたりもする。井土ケ谷ハウスも、例外なくそんな環境でスケートボーダーを育てたシェアハウスのひとつ。本多聡宏はこのハウスで二作目のスケートDVD「ROUND AND ROUND」を生み出した。タイトルの「ROUND AND ROUND」はブラジルから来日したフォトグラファー・レナトが名付け親。5boroのライダーのラファエルと3週間滞在したブラジリアンは、井土ケ谷ハウスにインターナショナルなアクセントを吹き込んだ。そういえば、二人が帰国する直前、レナトが日本で撮影した写真の個展を横浜529で開催された。かなり急な開催だったけど、こんな想像力だったり行動力もスケートハウスならではないかと思う。こうやってスケートハウスは人だったり物だったりを生み出だすパワースポットになっていく。カルチャーって言葉はファッションやビジネス的に氾濫し過ぎてて使いたくないが、彼らのやってることや生み出した物は、後にしっかりとスケートボーダーにカルチャーとして記憶されるはずだ。こういったことが本当の意味でのカルチャーなのだ。そして、井土ヶ谷ハウス解散から2ヶ月ほど経過した5月10日。本多聡宏は滑り育ったおらが街横須賀に、スケートショップ「Ours skateboard&Co」をオープンさせた。ビジネスは初心者かもしれないけれど、スケートショップ店主としての素質は申し分ないくらいのスケート馬鹿。「結果は後からついてくるよ」。なんてきれいごとも、彼を見ているとアリなんじゃないかと思えてくる。井土ヶ谷ハウスに住み始めたころには、まさかこんな近い未来にスケートショップを始めるなんて思っていなかったかもしれない。心の片隅に、密かに抱いていた夢物語だったかもしれない。それは本人にしかわからないことだけど、間違いなく言えることは、井土ヶ谷ハウスの住人と、ここを訪れた多くのスケートボーダーの存在が彼の背中をプッシュしたことだけは間違いないと僕は思う。そしてこれからOurs skateboard&Coが横須賀の街を更に盛り上げていくことを願わずにはいられない。今までも本当のスケートボーダーがスケートボーダーのためのショップや活動をずっと真摯に続けてきた街、横須賀。ある意味で真っすぐで直球な街、横須賀。そこからまた新しいことが進みはじめる。そんな2014年の夏。 Congrats Ours skateboard&Co !! Congrats Idogaya homies !! 

Eiji Morita