街中で絵を連れ回している。壊してまたつくる。それを早いサイクルでやっている。そんなスケートボードと出会った中学の頃。文法よりも筆記体をかっこよく描くことにハマったり、THRASHERのロゴをマネたりしていたSYUNOVENは、もともとクラスにひとりはいる絵が得意なタイプの少年だった。その後、スケートボードに傾倒していく中で訪れたサンフランシスコでは、有名スポットの3rd & Armyのセッション以上にツイストの絵に激しく心が揺さぶられたという。渡米前から拠点にしていた仙台では、メッカだったつつじヶ丘公園の目の前に部屋を借りた。しかし、スケートデイズは突然終わりを迎えることになる。古傷が再発しスケートがしばらくできなくなってしまったのだ。そのときから、ストリートの上でプッシュし続けている丸山晋太郎(MARU)がスケートボードで進んでいくように、自らは絵を描き続けていこうと決意する。10年後、MARUが乗るEVISENのデッキには自分が描いた絵がデザインされた。絵とスケート、どちらも大好きな彼にとって、それはひとつの結実でもあった。だからこそ、バックグランドにあるスケートボード、ヒップホップ、グラフィティとプッシュしてきた矢印の中で、そのさらに奥の方について感じようとしている現在。絵を描くこと、描いた絵が動くこと、それを手に宿すSYUNOVENを客観視する部分も持ちながら、スケートアートといったカテゴライズ無用の「ヤバい絵を描きたい」というだけの部分が彼の中で浮き彫りになっていく。大震災以後はよりその感覚は研ぎ澄まされ、常に隣にある死を意識しながら、目に見えないものすら描こうと、そしてたとえそれがわかりにくいものだとしても、まだまだ絶対に描きたい「すごい絵」がSYUNOVENにはあるに違いない。
その手で一体何を?
「何が出来るか、じっと手を見る」