憧れの人なんていうのはもう僕の年齢には似合わないけど、いまだに何人か特別な人たちはいるんだ。スケートボードのスタイルっていう点でね。例えば、ゲレロ、ディル、ナタスに、ニール・プレンダー。そしてもちろんマーク・ゴンザレスも。新しい世代だと、ルーカス・プイグ、デニス・ブゼニッツみたいな個性的なことをしてる人たち。あと、ロンドンに住んでいるとき、Heroin skateboardsのフォスに会いに来ていたチョッパーや大阪Daggersに会ったんだ(上海でチョッパーに偶然会ったこともある)。彼は最高のスケートボーダーだし、人としても素晴らしかった。Sbの「diaspora」号に載ってる彼の写真はすごく良かったね! あとは宮城豪のスケートも好きだね。あと、真剣に自分の夢を追っているフォトグラファーのRIPも個性的だね。とにかく、彼らをはじめとする日本人のスケートボーダーたちが、ひとつのスタイルとアプローチを築き上げ、それが世界中に影響を与えてるっていうのは、とても興味深いことだ。「LE CERCLE」についても話そうか。マーク・ゴンザレスと出会ったのは確か1996年のニューヨークだった。それまでの彼は僕にとって一番面白いスケートボーダーだった。彼のやるトリックがすごかったし、そのすべてに彼のキャラクターが表れてたよね。知り合ってしばらくすると、雑誌やビデオで見る以上に深い人間だって気づいたよ。自分がやりたくないことは何か?って分かっているし、それでいていつも物事の楽しい面を探してもいる。もちろん真面目な部分もちゃんとある。お互い性格は全然違うんだけど、彼が見せてくれる自由な発想に僕はすごく影響を受けているんだ。それはスケートボードに限ったことじゃなくてね。とにかく、そんなマークが2009年10月にパリに来たんだ。ニューヨークのフランクリン・パラッシュギャラリーでのエキシビション用のサークルボード撮影のためにね。彼から「ムービーを撮ってくれ」と連絡があったんだけど、僕は動画なら誰か探すよって、ルドビック・アゼマを紹介したんだ。それで僕はその様子を写真に撮ってた。どうしても見てみたかったからね。数ヵ月後に友達のジョセフ・アレン・シアに写真を見せたら、出版しないかと言われたよ。それだったら、マークに絵を描いてもらえたらいいなと思って、彼に聞いてみることにしたんだ。
僕が写真を選んで、ジョセフと二人で写真をプリントして、ニューヨークにいるマークに送った。それからは、ニューヨークにいるマークと、シドニーにいるジョセフとパリの僕と三人でよくコミュニケーションをとりながら、互いのパートを進めていくという感じだったね。だから、このアートブックはマークの絵と僕の写真がうまい具合に混ざり合ってると思うし、ジョセフ・アレン・シアによるデザインとプロダクションも一役買ってくれているね。リソグラフで印刷するというアイデアはジョセフの提案で、そのお陰ですべてのページでマークの絵がまるで一枚一枚手描きのような感じに仕上がっているんだよね。